海部郡特別養護老人ホーム事務組合特別養護老人ホーム海南荘 入所基準要項
指定介護老人福祉施設(徳島県指定 第3671400137号)
短期入所生活介護事業所(徳島県指定 第3671800088号)
1.目的
介護保険制度の導入により、入所の要件に該当する者であれば自由に特別養護老人ホーム(以下「特養」という。)に直接、入所申込ができるようになったことから、予約的な申込が多くなり、入所申込者が急増したため、真に入所の必要な方が速やかに入所できない状況にある。
この状況を改善するために、平成14年8月7日付け「指定介護老人福祉施設の人員設備及び運営に関する基準」(平成11年3月31日厚生省令第39号)の一部が改正され、「入所申込者の介護の必要の程度及び家族の状況等を勘案した上で、入所の必要性の高い者の優先的な入所(以下「定員超過の特例入所」という。)に努めなければならない」こととなった。
又、平成27年4月1日から新規入所は原則、要介護3以上とされたことを受け要介護1・2でもやむを得ない事由があり特例として入所(以下「重点化の特例入所」という。)が認められる入所申込者についても基準を設けなければならないこととなった。
こうしたことから海部郡特別養護老人ホーム事務組合海南荘(以下「海南荘」という。)においても海部郡特別養護老人ホーム事務組合海南荘入所調整指針(以下「指針」という。)を策定し申込者の入所の必要性や緊急性等を評価し適切な入所調整を行うことで円滑な運営ができるよう要項を定める。
又、入退所に関する基準を明示することにより透明性や公平性を確保するともに、介護保険制度の趣旨に即した施設サービスの実施を図ることを目的とするものである。
2.入所の申込
- 入所申込者
要介護1・2と認定された者で重点化の特例入所の要件に該当すると判断される者及び要介護3から5と認定された者(認定中で可能性の高い者も含む。)のうち、海南荘に入所することを希望する者とする。
優先的入所の対象となる者は身体上又は精神上著しい障害があるため常時の介護を必要とし、かつ居宅等においてこれを受けることが困難な高齢者とする。
- 入所申込方法
入所の申込は、原則として入所を希望する本人が入所申込書に必要事項を記入し海南荘に提出する。但し、本人が申込書の記入・提出が困難な場合は、家族・居宅支援事業所等が代行することができる。
要介護1・2で入所を申し込む場合は、入所申込書とともに、別紙様式1「特別養護老人ホーム重点化の特例入所申込申請書」を提出し、居宅等において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由について必要な情報を海南荘に提供しなければならない。
又、入所申込者は、申込後、要介護度や介護者の状況など申込書の内容に顕著な差異が生じた場合には、その都度必要な情報を海南荘に提供しなければならない。
生活相談員(介護支援専門員)は、入所申込の受付を行った場合には、必要に応じて面接・調査を行う。
3.定員超過の特例入所の要件
定員超過の特例入所の要件に該当する者の判定は、居宅等において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由があることに関し、以下の事情を考慮し海南荘が判断するものとする。なお、あくまで一時的かつ特例的なものであることから、速やかに定員超過利用を解消するよう努めなければならない。
- 老人福祉法第11条第1項第2号の規定による市町村が行った措置による入所によりやむを得ず入所定員を超える場合。
- 海南荘の利用者であった者が、指定介護老人福祉施設基準第19条の規定により入院をしている場合に、当初の予定より早期に海南荘への再入所が可能となった時であって、その時点で海南荘が満床だった場合(当初の再入所予定日までの間に限る。)
- 近い将来、海南荘に入所することが見込まれる者がその家族が急遽入院したことにより在宅生活を継続することが困難となった場合など、その事情を勘案し入所することが適当と認められる者が入所することで入所定員を超える場合。
4.重点化の特例入所の要件
重点化の特例入所の要件に該当する者の判定は、居宅等において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由があることに関し、以下の事情を考慮する。
- 認知症である者及び知的障害・精神障害等を伴い日常生活に支障を来すような症状、行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること。
- 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること。
- 単身世帯、又は同居家族が高齢、病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること。
海南荘は上記要件及び保険者市町村(以下「市町村」という。)の意見を勘案して、重点化の特例入所の要件に該当するか否かについて判断するものとする。
判断するに際して市町村に対してその都度、別紙様式3「重点化の特例入所希望者に関する報告書及び意見書」及び別紙様式5「重点化の特例入所判定結果に関する報告書」にて情報の提供又は報告を行うとともに、意見を求めることとする。
又、市町村は海南荘に対し、必要に応じて別紙様式4「重点化の特例入所希望者に関する意見書」にて地域の居宅サービスや生活支援などの提供体制に関する状況や担当の介護支援専門員等からの居宅等における生活の困難度の聴取の内容なども踏まえ適宜意見を表明できる
5.入所決定の方法
- 申込者の調査・情報収集
生活相談員(介護支援専門員)は、申込書に正当性があるか、状態等に変更がないか等調査のため自宅等訪問し申込者及び家族等と面談する。又、担当の介護支援専門員・医療機関等関係機関からも情報収集をする
- 入所検討委員会
海南荘は、入所判定委員会(以下「委員会」という。)を設置し合議により定員超過並びに重点化の特例入所の要件に該当するか否かの判断及び別紙「評価基準」を参考にし介護の必要の程度や家族等の状況等を総合的に評価し入所の可否、入所順位の決定を行うものとする。
この際、要介護3以上又は要介護1・2の重点化の特例入所該当者の何れであるかを以て扱いに違いは生じない。
又、重点化の特例入所に該当する者については、必要に応じて「介護の必要度」や「家族の状況」等について改めて市町村等に意見を求めることとする。
判定の結果、複数の同じ状況の該当者が存在する場合の優先順位については申込順とする。
なお、優先順位は、その都度、委員会毎に決定し有効期間は、次回の委員会までの期間とする。
①構成
委員会は、施設長、生活相談員(介護支援専門員)、看護職員、介護職員、栄養士からなる委員で組織する。なお、委員会には必要に応じて医師、市町村の介護保険担当職員、申込者の地区担当民生委員を加えることができる。
②運営
委員会は、原則として月1回程度開催する。但し、入所申込の状況及び入所状況等により3ケ月に1回程度まで開催時期を延伸することができる。
③記録の保管・公表等
ア)海南荘は、入所の可否、優先順位の評価、決定に至る経過を記録し5年間保存しなければならない。
イ)海南荘は、申込者から定員超過並びに重点化の特例入所の要件に該当するか否かの記録及び入所の決定の可否等に関する記録(以下「記録」という。)の提出を求められた場合、公表することとする。
又、市町村、県から記録の提出を求められた場合、提出しなければならない。
④入所順位名簿の作成・更新
生活相談員は、入所申込者名簿(以下「名簿」という。)を作成し管理する。
又、委員会終了後、又は定期的に名簿の更新を行う。
なお、入所の意思を確認したのにもかかわらず、申込者から辞退があった場合は、順位を見直すことができる。
- 入所の決定
海南荘は、空床が生じた場合、又は定員超過並びに重点化の特例入所に該当する者が生じた場合は受入条件(認知の程度、男女の別、その他海南荘の処遇方針等)を判断した上で、入所申込者等の意思確認を行い入所者の決定を行う。
- 医療上の制限
海南荘は看護師が3名体制のうえ早朝・夜間については、看護師が不在のため以下の疾病・状況の者は現利用者のサービスの質の低下防止を考慮したうえで入所することを断り、又は入所の順番を次にすることができる。
①夜間・早朝に医療行為が必要な者
②食事摂取、水分摂取が困難な者
③近日中に感染症に罹患し治癒が確認されていない者(疥癬他)
④空床ができ、入所することが可能となった時に病状が不安定で発熱や痛み、
脱力感等があり緊急通院や治療の可能性の高い者
⑤空床ができ、入所することが可能となった時でも、海南荘においてその時の
入所者の医療行為の頻度、重症度、利用者数により対応が困難と考えられる
場合
⑥その他、管理者が入所が適当でないと判断した者
- ロングショート利用者について
海南荘で引き続き30日以上、短期入所生活介護を利用する者の可否については、入所判定委員会において利用決定の判断を行うものとする。
- 利用者の入退院について
利用者の入院以後の取扱については以下のとおりとする。但し、生活相談員は医療機関スタッフと密に連絡をとり状態は把握しておかなければならない。
①入院後1ケ月以内の期間の利用者
当施設の利用者とする。
②入院後1ケ月を超える期間の利用者
退所となる。但し、3ケ月以内に退院した際において他施設等への入所・入院が困難な場合で、当施設に空床がある時は再入所となる。
空床がない場合は、「定員超過の特例入所の要件」(2)又は(3)に該当すると判断される時は入所することができる。
該当しない場合は申込順の最上位とし新規の者と交互に入所できるものとする。
③入院後3ケ月を超える期間の利用者
退所となる。但し、退院後、他施設等への入所・入院が困難な場合で当施設に空床がある時は再入所となる。
しかし、空床のない場合は「定員超過の特例利用」の(3)に該当すると判断される時のみ入所することができる。
該当しない場合は、入所希望の際、再度申込書の提出が必要となるうえ申込順の最下位とする。
6.特別な理由による入所
下記の事由による場合は、この要項に定める手続きによらず管理者、又は施設長の判断により入所を決定することができる。
- 老人福祉法第11条第1項第2号の規定により市町村が行う措置委託の場合は、通常の入所決定の手続きを経ずに管理者等の判断により入所決定をすることができる。
- 災害、事件、事故及び入所希望者の心身の状況、又は介護環境の急激な変化等により委員会を招集する余裕がないと判断された場合。
この場合、施設長は決定事項を次の委員会において報告し承認を得るものとする。
7.関連機関による助言
県及び市町村は、海南荘に対し必要な指導・助言を行うことができる。
附則
この要項は平成27年4月1日より適用する
別紙
評価基準
綱目
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評価内容
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評価基準
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入所希望者 心身の状況
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常時介護の必要性及び家族、介護者の日常生活への影響度の評価
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常時の介護や見守りが必要である。 又は認知症を原因とする問題行動があり、介護者の日常生活に支障がある。
(具体例)
・寝たきりにより食事、排泄、入浴等日常生活全般を通じ介護が必要
・昼夜逆転、徘徊等の問題行動がある。
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家族・介護者の介護力
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在宅生活に必要な家族の介護力の評価
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介護者がいない場合。又は介護者による介護が困難である。
(具体例)
・本人が一人暮らし。
・介護者はいるが入院、高齢、複数介護、共働き、育児等により介護が困難。 又は介護者より虐待がある。
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在宅生活の可能性
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在宅サービスを利用した在宅生活の継続の可能性の評価
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在宅サービスを利用しても在宅生活の継続が困難である。
(具体例)
・十分なケアが受けられない(ナイトケア等)
・近隣に在宅サービス機関が限られており利用が困難である。
・病院等の入院患者で帰る家や居場所がない。
・介護保険の利用限度額を超えて在宅サービスを利用(自己負担)しており経済的負担が大きい。
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住環境の状況
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在宅生活に必要な住環境の評価
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在宅サービスの利用に必要な住環境に支障がある。
(具体例)
・住居が狭い、住居の改修ができない、立地、地形上の理由から在宅サービスの利用が困難。
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地域性の状況
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社会生活の継続性の評価
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施設入所となっても従来の社会生活の継続が可能である。
(具体例)
・現在の生活区に施設が所在する。
・親族が施設の近くで生活している。
・居宅サービス等を通じて施設と関わりが長い。
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(定員超過による特例入所の算定基準)
要件
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定員超過基準
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(1)(2)
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入所定員に100分の105を乗じて得た数(入所定員が40人を超える場合にあっては、利用定員に2を加えた数)まで。 「海南荘においては52人まで」については、減額の対象とはならない。
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(3)
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入所定員に100分の105を乗じて得た数まで。 「海南荘においては52人まで」については、減額の対象とはならない。
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